今日の夕ごはん
海鮮中華丼、豆腐とほうれん草の味噌汁
今日も仕事だったので、夕ごはんの支度は簡単に
親友の使用人と間違われ・・・
アマゾンプライムで「小さなおうち」という日本映画を観た
山田洋次監督、
黒木華さん演じる女中さんと松たか子さん演じる奥様との交流を描いた作品
映画の女中部屋のシーンを見て、
そういえば私の生まれ育った家にも女中部屋があったことを思い出した
私の記憶に残る女中さんは、
中学を出たばかりの女性だった
当時私は幼稚園にあがる前くらいの年齢
そんな私に善悪の判断などできないと思ったのだろうか
彼女は大人がだれもないとき、
まるで私がそこに存在しないかのように、
してはいけないことをした
その女中さんは小太りで甘い物が好きだったのだろう
家人がいなくなると、
戸棚の砂糖壺を出して、指先をペロリとなめり、
砂糖の中に指を入れ、砂糖を舐めていた
私はそれが嫌で「汚いよ〜」と言うと、
女中さんは口に指を当て「しっ!黙ってて」と言った
まだ3歳かそこらの幼児だったが、
私にだって良心はある
私は母にそのことを知らせた
母は顔をしかめ、女中さんを呼んで注意をした
女中さんはその後、間もなく来なくなった
おそらく母が暇を出したのだろう
その女性を最後にうちには住み込みの女中さんはいなくなったが、
代わりに通いのおばあさんが来るようになった
そのおばあさんは平仮名を書くのがやっとで、
母が買い物リストを書いても平仮名で書かねば読めなかった
ある時、東京で働いていた長姉が実家に帰省
そのおばあさんが姉の履いていた靴を見て、
底がすり減っているのを見たのだろう
母に「おねえちゃん、東京で苦労してるな
靴がすり減ってヨレヨレだ
奥さん、小遣いやったほうが良い」と言った
母は驚いて「ありがとう」と言い、
姉が帰る日に現金が入った封筒を渡した
女中さんと聞いて思いだした話がもうひとつある
これは十年ほど前の話
親友があるゴルフ場でおカネ持ちの女性と知り合った
なぜ親友がその女性に関心を持ったかというと、
彼女がエルメスのバッグを持っていたからである
親友もエルメス好きなので、
同じ趣味の人間に興味を持ったのだろう
親友はその女性から招かれて、
自宅を訪問することになった時、
親友に誘われて、
私も同行することになった
その女性の家に行き、応接間の椅子に座った時だった
彼女が「あなたどちらのご出身?」と聞いた
私が「◦◦町の出身です」と答えると、
「あら、うちで使っていた女中さんと同じ町出身だわ」と言った
「あの辺りの人って正直で良い人が多いわよね」と続けたのを聞いて、
私は親友の使用人と間違われたことに気がついた
私の身なりを見て、そう判断したのだろうと思い戸惑った
親友は帰り際、私に申し訳なさそうにしていた
親友とは17歳も年が違う
使用人に間違われてもしょうがない
今の私だったら、むしろその状況を幸いと、
親友の使用人になりきって、人物観察を楽しんでいるだろう
せっかく山田監督の映画を観たのに、
女中さんという今では聞き慣れない言葉を聞いて、
実体験を次々と思い出し、本編の印象は残念ながら多くは残らなかった
今会ってみたい人は、やはりあのおばあさんだ
靴の底を見てその人の生活を言い当てるなんて、
どんなに苦労したんだろうと思う
もうとうに亡くなったことを今は亡き母から聞いた
自分も当時のあのおばあさんほどの年齢になって、
私も随分お世話になったと思い出す