己の中に流れる血を呪ったが・・・


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今日は、20年ぶりに恩師と再会

恩師は長年アルコール依存症の人を支援する働きをしている

今日は恩師がその働きを始めるきっかけとなった男性との出会いの話を伺った

当時20代だった恩師は、

身をもち崩し、酒のために健康も失い、

性格も凶暴で荒んだ生活をしている男性を、

なんとか矯正させようと彼の生活に寄り添った

しかし、アルコール依存となった男性の矯正は非常に困難で、

何度も何度も裏切られ、

その度になぜ自分はこんな人のために働いているのだろうという思いに襲われた

自分の思いが伝わらない

ある日恩師は男性を風呂に誘った

すると男性は恩師の背中を流し、すぐに上がった

後から、

男性は恩師に誘われる直前に銭湯から戻ったばかりだということ知った

その時の衝撃・・・

男性はただ恩師の背中を流すために、

銭湯に付き合ってくれたのだった

恩師の男性に対する献身の思いは伝わっていた

と、同時に、

男性に対してどうせこの人には誠意というものは伝わらないだろうという、

不信感を抱いたことを恥ずかしく思った

以来、恩師はどんな人にも誠意は通じる

そしてどんな人にも人としての魂があるという一念を持って、

アルコール依存症の人と関わり続けることを決心

半世紀に渡りその活動を続けているということだった

恩師が長年本業の傍ら、

この働きを続けていることは知っていたが、

そのきっかけを詳しく聞いたのは初めてだった

恩師の話を聞く中で、

私の頭にある男の幻が見えた

顔はわからない

私はその男に一度も会ったことはない

なぜなら、私が生まれる遥か前にその男は路上で亡くなったからである

私が知る男は亡くなった母の口から聞いたことだけ

その男はアルコール依存症で、

最期は路上で亡くなっているのを町の人に発見された

その男こそ、私の祖父である

私はこの祖父の血が流れていることを呪い、

アルコール依存の恐怖から、

料理以外の酒は一切飲まずに生きてきた

私はこの男の話を母から聞いた時、

聞かなければ良かったと不快に思った

私の身体の中にその惨めな男の血が流れていると思うと忌々しく、

記憶から消したいと願った

しかし、恩師の話を聞く中で、

私はこの男、すなわち私の祖父に、

心から頭を下げて謝りたい衝動に襲われた

私は祖父をただの酔っ払い、

身内の恥としか見ていなかった

しかし、祖父にも人としての心があった

酒に溺れる人生の中に、

どんな苦しみがあったのかを考えることもせず、

記憶から消したいとだけ願った自分が恥ずかしかった

恩師がそのような人たちに寄り添い続けたことを聞いて、

私の蓋をしていた闇に光が充てられ、

祖父に対する申し訳ない思いが溢れ、

涙がとどめなく流れた

私はその祖父の名前も知らない

けれども、今度その墓を参る時には、

墓前で祖父の名前を呼んでみたい

そして、これからも祖父の存在を覚えていきたい

恩師の話を聞いて、

祖父に思いを馳せることができた

感謝

今日の夕ごはん

鮭のあら汁

ナスの生姜醤油

ほうれん草と小松菜とエノキの煮浸し

シャインマスカット

友人から生鮭とシャインマスカットを頂いて、

豊かな夕ごはんとなった


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